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この記事は locus に書いた ポケットのたからもののネタバレありの追記です。
ネタバレなしの状態から本を読みたい方は 上のリンクのlocus の記事をご利用ください。

以下、完全なねたばれ感想です。ご注意を。

ポケットのたからもの
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ジェイという6歳の男の子が小学校に入学する前後の日常を描いた本で、特別なことは何も起こりません。 物語の中に入り込まないと、さらりと読んで「ふーん」でなにも残らない本だと思います。

 素人考えですが、この本をじっくり読めるか読めないかは、読み手が主人公とどこまで同化できるかにかかっているように思います。本の体裁は小学校低学年向けですが、一般的な小学校低学年はこの本をどんな風に読むのでしょう。あいにく息子も小学校高学年になってしまい、身近に低学年の子がいないためわかりません。

 私にとって、この本は 「友達」の物語でした。 物語の前半 ジェイののどかな毎日が紹介されます。 自然に囲まれた生活は一人で気楽な楽しみに満ちています。 一人遊びの好きな子はきっとこの気持ちは分かるはず。 時間が過ぎるのを忘れてアリの行列を見ていたり、珍しい石を探したり そういう静かで自分だけの楽しみに満ちています。 母としての私はこの本を読みながら息子の小さかった頃のことを思い出しました。 毎日、カラスやハトの羽を拾ってきたり、ポケットの中から木の実や草、石が出てきたり、何かしらお土産がありました。 息子が学校から帰ってくるのにものすごく時間がかかっていて、あわてて迎えに行ったことがあります。すると、息子はとりたてて道草をしているわけではなく、右のくさむらを見たり、棒きれを拾って持って歩いたりと気ままにてくてくと学校からの帰り道を歩いていました。 帽子いっぱいの桜の花びらを拾ってお土産にくれたこともあったっけ。

 さて、長い一人遊びの描写の後に、ジェイは入学となります。 秋からの入学なので、丁度今の時期頃のお話なのですね。 日本とはちがって、入学式というような大げさなものはないのでしょうか。 初日から一人でスクールバスに乗り学校へ。 そうして新しい教室に入ります。 その時に、ひとつ持って行ったたからものについて緊張するできごとがいくつかあるのです。

 ところで、低学年にはジェイの状況が分かりにくい子もいそうだと思います。日本の子供たちの平均的な生活とジェイの生活の差が大きいのです。ジェイはたぶん、広い丘の上にポツリとたった家に住んでいます。つまり見渡す限り自然には恵まれているけれど、同じ年代の遊び友達は一人もいない状態だと日頃のジェイの生活から想像できます。 今の子供たちは(うちの子もですが)小学校入学前に物心ついた頃から幼稚園や保育園に通い、公園に行けば知らない子どもたちもたくさんいて、遊び相手のいないことはありません。 危険だということで、自然の中の自分だけが知っている小さな秘密のできごとも、一人遊びもほとんどないと思います。かならず保護者が付いていっていますから。

 物語の終わりは、ジェイのこれからの生活が予測できるような終わり方です。一人遊びのジェイ、コオロギが友達だったジェイにも自分のことをたくさん話したい相手ができたわけです。 読んでいる私の中にじんわりと喜びが広がって来ました。

 みなさんには「この話、○○に話したい」と思うことがありますか? 「今度会ったらこの話をしよう」「この話をして、どう思うか聞いてみたい。」「どんな顔するかな」「これはあの子が好きそうな話題だ」と、先のことを想像する楽しみはその相手があればこそです。 一人遊びの楽しさを誰かと共有することで、大きく楽しみが広がることもあります。「○○に話したい(=思いや楽しみを共有したい)」という特別の相手があることは幸せなことだとしみじみ思いました。

 話はすっかり横道にそれてしまいますが、 萩尾望都のマンガのなかに、「あなたに話したい話がたくさんある」というようなセリフで終わるマンガがあります。それを思い出し、もう一度読みたくなってしまいました。(あのマンガ、家にあるはずです。探してみようかしら。)
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