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この記事は locus に書いた 土神と狐のネタバレありの追記です。
ネタバレなしの状態から本を読みたい方は 上のリンクのlocus の記事をご利用ください。

土神と狐
土神と狐宮沢 賢治

偕成社 1994-12
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 一本の綺麗な女の樺の木には二人の友達がいました。土神と狐です。

 樺の木は、どちらかといえば狐の方がすきでした。なぜなら土神の方は、神というなこそついてはいましたが、ごく乱暴で、神もぼろぼろの木綿糸の束のよう、眼も赤く、きものだってまるでわかめに似、いつもはだしで、爪も黒く長いのでした。ところが狐の法は大変に上品な風で、滅多に人を怒らせたり気にさわるようなことをしなかったのです。
 ただもし、よくよくこの二人をくらべてみたら、土神の方は正直で、狐は少し不正直だったかも知れません。



 私はここまで読んで、身なり云々で不正直な人の方が好きな樺の木のことをあまり良く思いませんでした。

ところが、物語を読みすすめてみると、狐は上品なだけではなく、知識豊富であり、話をしても面白い。 ただ、つい、樺の木に良く思われたくて 見得をはってしまいます。けれど、

そしてすぐ考えたのです。ああ、僕はたった一人のお友達にまたつい偽(うそ)を言ってしまった。ああ、僕は本当にだめなやつだ。-略ー あとですっかり本当のことを言ってしまおう、



と反省しています。いや、狐は正直なのではないだろうか?と思い始めました。

 それに対照的なのが土神です。理論派の狐に対して、ロマンチストの土神は

草というものは黒い土から出るのだが、なぜこうも青いもんだろう。黄や白の花さえ咲くんだ。どうもわからんねえ。



と、樺の木にはなしかけます。

樺の木は

それは、草の種が青や白を持っているためではないでございましょうか



とあっさり理論派。ロマンチストの土神と同じ視点でものをみていないのですから話はかみ合いません。 

狐さんにでも聞いてみましたらいかがでございましょう



といわれて、土神の逆鱗にふれてしまいます。
土神にとってはいとしい樺の木をめぐる恋敵の狐の名前を当の本人の樺の木の口から聞いたものですから。

 樺の木の気持ちで読んでいると、どう考えても土神は好きになれそうもありません。 突然怒るし、八つ当たりをしてしまうし、随分と恐ろしいのです。 どうも、冒頭にあった 「正直」というよりは、自分の気持ちを押さえることができない神なのです。

私は、樺の気持ちを離れて、土神の気持ちになって読んでみました。 樺の木を好きな気持ち。自分は好かれていないだろうとわかりきっているけれど、どうしてもあきらめきれない気持ち。 自分ではどうしようもない自分の性質というものは誰にでもあると思います。 失敗するとわかっていてもどうしてもやってしまう。直そうとしてもなかなか直らない。

 このおはなしは、なによりも土神の悲しみに満ちているお話です。 

追記:
 検索していて 私の感想と良く似た感想にヒットしました。

「土神ときつね」― テーマについての小論 ―
  この論の最後の結び、

かもがやの穂は最初からかもがやの穂でしかないのである。かもがやの穂がかもがやの穂であること、それに「気づく」ことが重要なのであり、気づくことで、土神は自分の今までの感情が「恋愛」というものであることを理解する。


  ここが、私には理解しきれませんでした。 どうしてかもがやの穂で恋愛と言う感情を理解できたんだろう。。。。

土神と狐
土神と狐
posted with 簡単リンクくん at 2006. 7.21
宮沢 賢治作 / 小林 敏也画
パロル舎 (1985.12)
通常2-3日以内に発送します。
こちらは上で紹介した絵本バージョンでない方ですが、レビューが素晴らしく良いと思えるので。
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